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「ウッドショック」が招く、
住宅地価格への影響とは?
いま木造建築業界に激震がはしっています。
ちょうど2021年に入ったころからでしょうか、私たち不動産業界で木造建築資材の高騰が噂され始めました。
欧米のコロナワクチン接種がようやく軌道に乗り、局地的にロックダウンも落ち着き始めてきた矢先のことです。
輸入木材の高騰
日本国内の木造建築資材は、その60%以上を海外からの輸入に頼っていると言われています。
主な輸入資材は北米からのSPF材「エゾ松・松・モミ」になりますが、これらの資材は比較的安価で加工もしやすいのが特徴です。
ホームセンターのDIYコーナーなどでサイズごとに立てかけられている板材といえばお分かりいただけるかと思います。もはや「SPF材」なくしては日本の木造建築が成り立たないほど利用されてきました。このSPF材が2021年に入ってから急騰し、5月現在でなんと従来の約1.5倍になっているのです。
元凶はやはりコロナウイルス
高騰の理由は、やはりコロナウィルスです。原木の切り出しや加工の人員が不足していることに加え、米国内のテレワーク急増による新築住宅の需要が増えたことが大きく影響しています。超低金利政策が続いていることも大きいでしょう。
コロナウィルスに端を発する今回の木造建築資材の高騰は「ウッドショック」と呼ばれ、いま木造建築業界を揺るがしているのです。
私たちの取引先でも、このウッドショックはかなり衝撃的に受け止められており、ハウスビルダー業界では次のプロジェクトの資材を押さえるのに大変だと聞きますし、木造アパート業界でも同様です。木造アパートでは2月3月の引っ越しニーズに合わせて建物を竣工させることが理想的ですが、建築資材の納入が遅れることで竣工が予定よりも遅れてしまうことも十分にありうる話です。2月の竣工予定が夏の時期にズレると、予定していた入居者がなかなか集まりません。当然ですが、収益物件として投資家へ販売することも苦戦が予想されます。
不動産価格への影響は?
こういった輸入木材の供給逼迫は、今後どのように不動産マーケットに影響を及ぼすのでしょうか?
ここから先は、あくまでも私の予想でしかありませんが、実はやや悲観的にとらえています。住宅用地の価格が、これから少しづつ下落していくのではないか、という予測です。
主な理由としては以下の3つです。
①建築資材の不足による着工数の減少
大手の建売デベロッパーは大量の住宅用地を仕入れ、一年間で数千棟もの建売住宅を供給しています。大量に土地を仕入れ、大量の建築資材を発注することでコストダウンに成功しているわけですが、資材供給の逼迫、高騰によって着工件数が減ることが予想されるからです。着工できなければ、住宅用地を購入すること自体をセーブするしかありません。
②コロナ収束による都心回帰・賃貸回帰
コロナ蔓延に伴い、一気にテレワークが普及しました。「どうせ在宅なら、都心ではなく良い環境で暮らしたい」というニーズが急増したために都心を離れて郊外に一戸建て住宅を購入されたご家庭も多かったと思います。業種によっては在宅業務が完全に定着したところもありますが、どうやらリモート特有の不便さを感じている業種の方が多いように感じています。すでにテレワークの比率を下げて出社日数を増やしている会社も確実に増えてきていますので、「やっぱり会社に近い都心の方が何かと便利だな」と感じるビジネスマンも今後は増えてくるでしょう。この揺り戻しの動きが始まると郊外の住宅販売が勢いを失い、都心の分譲マンションや賃貸住宅が見直されてくるのではないでしょうか。
③生産緑地の2022年問題
1992年の「生産緑地法」改正で「生産緑地」の指定制度が設けられました。農業の継続を希望する地主が「生産緑地」の指定を受けると「30年間の営農継続」が義務化される一方で、宅地に比べてはるかに有利な優遇税制が受けられるようになったのです。ところが、1992年に指定を受けた生産緑地もいよいよ2022年には満30年を迎え、営農義務が解除されることになります。このタイミングを機に、生産緑地の指定解除を受けて引退を考えている方も一定数いらっしゃるはずです。もしも2022年を境に一気に農地から宅地への転用が進めば、分譲住宅が供給過多になってしまうかもしれません。
ちょうど2021年に入ったころからでしょうか、私たち不動産業界で木造建築資材の高騰が噂され始めました。
欧米のコロナワクチン接種がようやく軌道に乗り、局地的にロックダウンも落ち着き始めてきた矢先のことです。
輸入木材の高騰
日本国内の木造建築資材は、その60%以上を海外からの輸入に頼っていると言われています。
主な輸入資材は北米からのSPF材「エゾ松・松・モミ」になりますが、これらの資材は比較的安価で加工もしやすいのが特徴です。
ホームセンターのDIYコーナーなどでサイズごとに立てかけられている板材といえばお分かりいただけるかと思います。もはや「SPF材」なくしては日本の木造建築が成り立たないほど利用されてきました。このSPF材が2021年に入ってから急騰し、5月現在でなんと従来の約1.5倍になっているのです。
元凶はやはりコロナウイルス
高騰の理由は、やはりコロナウィルスです。原木の切り出しや加工の人員が不足していることに加え、米国内のテレワーク急増による新築住宅の需要が増えたことが大きく影響しています。超低金利政策が続いていることも大きいでしょう。
コロナウィルスに端を発する今回の木造建築資材の高騰は「ウッドショック」と呼ばれ、いま木造建築業界を揺るがしているのです。
私たちの取引先でも、このウッドショックはかなり衝撃的に受け止められており、ハウスビルダー業界では次のプロジェクトの資材を押さえるのに大変だと聞きますし、木造アパート業界でも同様です。木造アパートでは2月3月の引っ越しニーズに合わせて建物を竣工させることが理想的ですが、建築資材の納入が遅れることで竣工が予定よりも遅れてしまうことも十分にありうる話です。2月の竣工予定が夏の時期にズレると、予定していた入居者がなかなか集まりません。当然ですが、収益物件として投資家へ販売することも苦戦が予想されます。
不動産価格への影響は?
こういった輸入木材の供給逼迫は、今後どのように不動産マーケットに影響を及ぼすのでしょうか?
ここから先は、あくまでも私の予想でしかありませんが、実はやや悲観的にとらえています。住宅用地の価格が、これから少しづつ下落していくのではないか、という予測です。
主な理由としては以下の3つです。
①建築資材の不足による着工数の減少
大手の建売デベロッパーは大量の住宅用地を仕入れ、一年間で数千棟もの建売住宅を供給しています。大量に土地を仕入れ、大量の建築資材を発注することでコストダウンに成功しているわけですが、資材供給の逼迫、高騰によって着工件数が減ることが予想されるからです。着工できなければ、住宅用地を購入すること自体をセーブするしかありません。
②コロナ収束による都心回帰・賃貸回帰
コロナ蔓延に伴い、一気にテレワークが普及しました。「どうせ在宅なら、都心ではなく良い環境で暮らしたい」というニーズが急増したために都心を離れて郊外に一戸建て住宅を購入されたご家庭も多かったと思います。業種によっては在宅業務が完全に定着したところもありますが、どうやらリモート特有の不便さを感じている業種の方が多いように感じています。すでにテレワークの比率を下げて出社日数を増やしている会社も確実に増えてきていますので、「やっぱり会社に近い都心の方が何かと便利だな」と感じるビジネスマンも今後は増えてくるでしょう。この揺り戻しの動きが始まると郊外の住宅販売が勢いを失い、都心の分譲マンションや賃貸住宅が見直されてくるのではないでしょうか。
③生産緑地の2022年問題
1992年の「生産緑地法」改正で「生産緑地」の指定制度が設けられました。農業の継続を希望する地主が「生産緑地」の指定を受けると「30年間の営農継続」が義務化される一方で、宅地に比べてはるかに有利な優遇税制が受けられるようになったのです。ところが、1992年に指定を受けた生産緑地もいよいよ2022年には満30年を迎え、営農義務が解除されることになります。このタイミングを機に、生産緑地の指定解除を受けて引退を考えている方も一定数いらっしゃるはずです。もしも2022年を境に一気に農地から宅地への転用が進めば、分譲住宅が供給過多になってしまうかもしれません。