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土地の相続登記が義務化へ
相続発生3年以内に

所有者不明土地建物

所有者のわからない土地が増えているそうです。
その結果、誰が管理者なのかわからないままゴミが不法投棄されたり、草木が生い茂って害虫被害が出たり、誰もいないはずの空き家が何者かに不法占拠されて社会問題になっています。
それだけではありません。所有者が特定できないので不動産の売買や賃貸といった有効利用もままならず、地域経済の可能性すら低下してしまいます。
行政サイドにとっても余計な仕事は増える一方です。税務当局にとっても課税する相手が特定できないわけですから税収の確保もおぼつきません。

九州本島を大きく上回る面積
このような誰のモノかわからない土地は「所有者不明土地」と呼ばれ、今や社会問題になっています。
2016年の民間有識者による推計では、所有者不明土地は410万ヘクタールに及び、九州本島の総面積367万ヘクタールを優に上回っています。
同推計では、このまま何の対策も進まなければ2040年には720万ヘクタールに増えると見積もっています。これは何と日本国土の約20%に相当する面積になります。

所有者不明土地ができるメカニズム
これまでの法律では、土地や建物を相続で取得しても登記することは必ずしも義務ではありませんでした。
相続によって土地の所有者が複数に分かれることはよくありますが、何世代にも渡って幾度も相続が起こり、子から孫へ、更には兄弟へ、そしてまたそれぞれの相続人へと所有権が複雑に分かれていくことになります。また、共有者の中には住所を移転しているケースも多いはずです。
相続を繰り返した土地の所有権が何人もの名義に分かれている場合、共有者の名前や連絡先住所の正確な把握は困難を極めます。
実際の所有者不明土地の発生原因としては、相続の発後に所有権の登記をしなかったことによるものが66%、所有者(共有者を含む)が転居したにも関わらず住所移転の登記をしなかったことによるものが34%になっています。

不動産登記法の改正へ向けて
こういった所有者不明土地の問題を受けた法制審議会(政府の諮問機関)ではこのたび不動産登記法の改正案が答申されました。
改正案の骨子は以下の4つになります。

①相続登記の義務化
 相続発生によって所有権の取得を知った日から3年以内に登記を申請しなければならない。
 ※登記申請しないと10万円以下の罰金

②土地の所有権放棄が簡単に
 建物や土壌汚染がないことを条件に国庫に返納が可能になる。
 ※審査手数料と管理負担金の納入が条件

③住所氏名変更の義務化
 個人・法人を問わず、住所や氏名(名称)に変更が生じた際は2年以内に登記申請しなければならない。
 ※登記申請しないと5万円以下の罰金

④所有者不明土地の利活用を促進
 共有者の過半数の合意があれば短期の賃貸借が可能になる。
 裁判所で管理人を選定してもらえれば売却が可能になる。

これらの改正案が正式に法制化されれば、所有者不明土地・建物の発生を抑制することができるはずです。2011年に発生した東日本大震災の復興事業がなかなか進まなかったのも土地の所有者が特定できなかったことが大きな要因のひとつだったと言われています。
不動産登記法の改正によって、本来の価値が失われたままに放置されている不動産に光があたり、都市の活性化につながることを期待したいですね。

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