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アリ社会に学ぶ!
戦略的行き当たりばったり経営

コミュニティ社会

一般的な企業では、仕事で頻繁にミスをしたりサボったりする社員はダメ社員とされています。人事担当者からすれば、なるべく真面目で勤勉でミスの少ない社員だけを採用したいと考えるのではないでしょうか?
ところが、自然界においてはどうも人間社会とは話が違う様でして、コミュニティの中に一定数のダメ社員がいる方が生産性が上がるらしいのです。

アリのコミュニティとは
皆さんご存じの「アリ」。全世界いたる所に分布し、おそらく地球上で最も繁栄しているであろう生物。
特にリーダーがいるわけでもないのに完璧な分業をこなし、各自がコミュニティのための利他的な行動をとることで永続的な繁栄を実現しています。
彼らは巣の外で虫の死骸などの餌を発見すると、第一発見者だけでは大きすぎて持ち帰ることができないため、フェロモンを出しながらいったん巣へ戻り、仲間を呼びます。仲間たちは第一発見者のフェロモンをたどりながら餌のある場所へ到着し、みんなで分担して細かく切り取った餌を巣へ持ち帰ります。

一見すると一糸乱れぬ完璧な分担作業のように思えます。ところが、どうも実態はそうではならしく、コミュニティの中には勤勉に働くメンバーとサボり癖のあるメンバーが必ず一定割合で存在していて、サボり組は真面目にフェロモンをトレースすることなく道に迷ってみたり、そこら辺をブラブラしたりするのだそうです。
このように、エリート社員とダメ社員が一定の割合で混成している、あたかも一般企業のようなアリ社会。このアリたちのコミュニティを題材に、広島大学大学院の西森拓先生が実に興味深い研究をされています。アリの各メンバーの能力や行動特性によって、どのように生産性(巣に持ち帰られた餌の量)が変わるのかという点などがテーマとなっています。

エリートチーム vs 玉石混交チーム

まずアリを2つのグループに分けます。ひとつは、餌の第一発見者の仲間のフェロモンを完璧に追尾できる優秀なアリだけを集めたエリート集団Aグループ。もうひとつは、一定数のトンチンカン行動をとるアリを混成したBグループ。
この2つのグループのどちらが餌をたくさん巣へ持ち帰ることができるかを実験したところ、エリート集団Aグループは短期的な生産性は高かったのですが、中長期的にみるとトンチンカンなメンバーを含めたBグループの方が高くなるという結果が得られたそうです。

この理由は、最初に餌を発見した仲間の帰巣フェロモンのルートが必ずしも最短ルートではなかったことに起因しています。
Bグループのトンチンカンなメンバーが適当に寄り道したりルートを間違えたりしているうちに、「たまたま偶然に」最短ルートを見つけることになり、他のメンバーもその最短ルートを利用するようになるからなのです。
中長期的にはダメ社員とエリート社員の混成チームが新ルートを開拓し、生産性をどんどん高めていった一方で、エリート集団のAグループでは第一発見者の残したフェロモンを勤勉に正確にトレースし続けた結果、いつまでも遠回りなルートで餌を運び続けたのです。

偶然の重要性
このように、自然界においては偶然性がひとつのルールとして組み込まれているようです。
アリのコミュニティにはエリート社員とダメ社員が一定の割合で存在しているという話は先ほどしましたが、コミュニティの中からダメ社員を全員つまみ出してエリート社員だけの集団にしても、かならず一定数はダメ社員に変身してサボったりトンチンカンな行動をとるそうです。
逆パターンで、エリート社員をすべて取り除いてダメ社員だけのコミュニティをつくっても、そのうちの一定数は急にサボり癖が治って活発なメンバーに生まれ変わるという研究結果もあります。まさに自然界は規律と遊びのバランスでできているのですね。

われわれの企業活動では、ともすれば短期的な成果だけを追い求めるあまり、偶然性や遊びの要素をなるべく排除してしまいがちです。ところが長期的な観点で見ると、実はものすごくもったいないことをしているのもしれません。特に最近は実に曖昧で複雑な世界ですし、新型コロナウィルスのように明日なにが起こるか見当もつかない世の中です。こんな時代だからこそ恣意的に遊びの要素を盛り込んだり、わざと偶然性を誘発させるような企業活動が求められているように思います。短期と中長期の成長性に複眼的な視点を持った戦略的行き当たりばったり経営こそがこれからのトレンドになるかのもしれません!?



 

 

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