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長期的な運用に応えられる建築計画とは

個性ある不動産

不動産投資の世界では、収益還元法が完全に定着しました。
収益還元法で不動産を捉えるということは、不動産を金融商品として評価するということです。

金融商品としての不動産は、土地・建物のコストを分母とし、賃料収入を分子とする利回りで評価されます。投資効率を重視して利回りを上げようとすると、建築コストを下げると同時に、なるべく多くの賃料収入を得る必要があります。
その結果、投資用不動産の建築計画をプランする際には、まず施工面積を最小化しながらも賃貸可能面積(専有面積)を最大化しようと考えます。
ここ数年の賃貸マンション建設ラッシュをみても、どこの物件も同じような企画で同じような仕様であるのもこの理由です。投資用不動産それ自体が金融商品化してきたために、どうやら経済合理性だけに主眼が置かれているようです。


法規制ギリギリのスペック
建築基準法や条例には建ぺい率や容積率、斜線制限などさまざまな規制があります。施工面積を最小化し、賃貸可能面積を最大限確保しようとすると、法規制が許す限り最低限のスペックで建てることになります。
街を歩いていると、狭い道路ギリギリに建っている建物の上部が斜めに切れ上がった不自然な光景に気付かれると思います。建物のエントランスに入って目の前にいきなり狭い階段が現れるような物件をご覧になったこともあるはずです。みなさんどんな印象をお持ちになりますか? 法規制の最低限スペックで建てることで圧迫感を感じさせたり、無機質で味気ない建物になってしまいますよね。


ゆとりと個性あるプランとは
一方で、空間にゆとりをもたせ、デザインにこだわりをもった建物も少数ながら存在します。
賃貸面積は犠牲になりますが、道路からほんの数メートルでもセットバックして建物が建てられているだけで全く印象が変わります。公開空地にシンボリックな樹木やオブジェでもあれば雰囲気はなおさら良いものとなります。
また、施工面積は増えますが、エントランスに入ったところにすこし広めのホールを設けるだけでも空間的なゆとりを感じられると思います。
公開空地もホールも一見すると無駄に見えてしまう部分ですが、いわば余剰ともいえるこの部分が佇まいに深みを与え、他のライバル物件との差別化を図ることができます。

投資効率重視で建てた建物は、ゆとりやデザインを考慮して建てた建物に比べて新築時の利回りは高くなります。当然ですが銀行融資の評価も出やすくなります。多少チープな造りであっても新築時であればテナントからの引き合いも多いでしょう。
ところが建物は経年に応じてすこしずつ古くなります。設備やデザインの陳腐化、次々と建てられるライバル物件との競合など様々な要因が稼働率を押し下げ、賃料収入の減額につながります。賃料収入が減少すれば不動産評価額も下がりますので、先々の出口戦略にも影響がでてきます。


長期で運用するという視点
これまで私たちハーキュリーズ・リアルティでは数多くの収益不動産を取り扱ってまいりましたが、周りに比べて明らかに価格が安くないと引き合いがこないケースをいくつも見てきました。
収益物件が多数競合するエリアでは空間的余裕や個性のない物件はコモディティ化が進み易く、利回り勝負、価格勝負になりがちです。その反対に、築年数は経過しているものの見る人に安心感や美しいという印象を与える物件も少なからず存在します。そのような物件は適正な管理が施されることで、築年数の経過にかかわらず人気物件として高い稼働率が維持されています。

不動産投資は本来、長期的な視点でとらえるべきですし、建築物それ自体も街並みを彩るという意味では地域社会にとって重要なインフラだと言えます。投資効率を重視するあまり将来の資産価値を安く見られてしまったり、リーシングに苦労する結果となっては元も子もありません。
これから賃貸用不動産の建築を計画される際は、予算の許す範囲で建築計画にゆとりをもたせ、長く評価され続ける建物を計画するということもぜひ視野にいれていただきたいポイントです。

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