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不動産投資は個人・法人どちらが有利?
PartⅠ(インカムゲインの税金について)

不動投資の税金

お客様からいただくご質問の中でとても多いのが、不動産投資を行う場合の名義に関する問題です。
収益物件を保有する際の名義は個人名義が良いのか、法人名義が良いのかについてです。今回は税務上の観点から不動産投資の主体者(所有者名義)としてはどちらが適切なのかについて考えてみたいと思います。


    税務上のポイント】
   運用期間中のインカムゲイン(賃料収入)の税金はどちらが得か
   売却時のキャピタルゲイン(売却益)の税金はどちらが得か
   売却時のキャピタルロス(売却損)の処理方法はどちらが得か

今回は運用期間中のインカムゲイン(不動産賃貸収入)に関する税金を取り上げて、個人名義が有利なのか法人名義が有利なのかについて検証してみたいと思います。


インカムゲイン(賃料収入)の税金について

【個人名義の場合】
個人投資家が不動産投資を行う場合、運用期間中の賃料収入(不動産所得)は、給与所得などの他の所得と合算されて所得税が課税されます。これは総合課税といわれる制度です。段階的に超過累進課税が適用されますので、不動産所得が増えると給与だけの収入であったときに比べ、より高い税率が適用されることになります。 

    所得税の税率表(※抜粋)
       (課 税 所 得 金 額)      (税 率)    (控 除 額)

    900万円~1800万円未満        33%     1,536,000円
        1800万円以上4000万円未満     40%     2,796,000円
    4000万円以上                       45%     4,796,000円

           ※その他平成25年分から所得税額に2.1%を乗じた「復興特別所得税」が課されます。
           ※その他住民税10%、事業的規模の不動産所得に対しては事業税が5%課税されます。


【法人名義の場合】

一方、法人が収益不動産を保有している場合はどうでしょう。賃料収入などの所得は、他の事業の収益と合算されて一事業年度の所得として法人税が計算されます。ここまでは個人の所得に関する所得税と考え方は同じですが、個人と法人で異なるのは税率です。法人税の税率については、課税所得が800万円までの部分と800万円を超えた部分の2段階で税率が変わります

            中小法人の法人税等の税率(※所得金額が年1,000万円以下の場合)
   (税   目)     (税   率)   (備   考)

    法 人 税       15%           所得金額800万円以下の部分
                23.2%           所得金額800万円超の部分

    地方法人税       4.4%           法人税を課税標準とする

    事 業 税       3.4%           所得金額400万円以下の部分
                5.1%           400万円超800万円以下の部分
                6.7%           800万円超の部分

    地方法人特別税       43.2%         事業税額を課税標準とする

    都民税(法人税割)     12.9%         法人税を課税標準とする

      ※平成
3041日以後開始する事業年度に適用される税率を記載しています。 


【個人と法人を比べてみると】
それでは、3000万円の給与所得がある人が、2000万円の課税所得を生む投資用不動産を購入する場合、個人名義での購入が得なのか、法人名義での購入が得なのかシミュレーションしてみましょう。

    ケース
   給与所得2000万円の人が個人名義で不動産所得1000万円を得た場合、
   個人所得3000万円に対する税額は約1,220万円です。

   ケース
   給与所得2000万円の個人投資家が法人を設立して不動産所得1000万円を得た場合、
   個人所得2000万円に対する税額は約720万円
   法人所得1000万円に対する税額は約262万円
   個人所得2000万円と法人所得1000万円に対する税額合計は982万円です。

上記2000万円の給与所得者が新たに1,000万円の不動産所得を得る場合、個人に比べて法人の方が約238万円も税金が安くなります。
これはなぜでしょうか?
個人においては所得税が超過累進税率により計算されますので、給与所得以外の課税所得が累積され、ケース①のように40%という高い税率で課税されてしまいます。一方で法人においては、ケース②のように26.2%(262百万円÷1,000万円=26.2%)という低い実効税率で課税されることになります。個人の場合は不動産所得が大きくなるほど税率が上がっていき、最高税率はなんと45%になってしまいます。個人では所得税以外にも10%の住民税がかかってしまうなど、税率で比べると法人が有利であることは間違いありません。


取材協力 税理士法人ティーブレイン 代表社員 林聖二 様

 

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