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不動産投資は本当に節税になるのか?
累進課税の適用で税率が大幅アップに

不動産節税

「不動産投資って節税になるんですよね?」
お客様から時々こんな質問を受けることがあります。

いつもの私の答えはこうです。
「いいえ、基本的に節税にはなりません。」

基本的にというところがポイントなのですが、節税になるのは物件を購入した初年度だけです。初年度は通常の経費に加えて登録免許税、不動産取得税という大きな経費を計上できるため、よほど収益率の高い物件でない限り不動産所得を赤字計上することができるからです。不動産所得で赤字になった部分は本業の給与所得と相殺されますから、確定申告をすれば払い過ぎた税金が還付されます。

ところが2年目以降は借入金利、固定資産税、減価償却費、建物管理費といった通常の経費だけしか申告することができませんので、当然ですが不動産所得は黒字計上となります。本業の給与所得と不動産所得が合算されることで累進課税による税率がアップしますので、不動産投資をすることで節税どころか支払う所得税額自体は大きく増える結果となります。まあ現実に儲かっているわけですから税額が増えるのは当然のことですし、毎年のように赤字計上が続くような投資物件に銀行がお金を貸すはずがありません。

不動産収入の実効税率は40%オーバーに
不動産投資が基本的に節税にならないという理屈はお解かりいただけたと思います。それでは給与所得者が個人名義で収益不動産を購入すると、実際どのくらい税金負担が増えるかを考えてみたいと思います。
不動産所得は課税対象で1000万円に統一した上で、給与所得が1000万円増えるごとに総所得に対する税金がどれだけ増えるのか、不動産収入1000万円に対する実効税率は何パーセントになるのかをご確認ください。

  【事例その①】
  給与所得(課税対象)1500万円の個人が、不動産所得(課税対象)1000万円を追加した場合、
  給与所得1500万円だけのときの税率は約33%・控除額1,536,000円(納税額は341万円)

                       ⇩
  不動産所得1000万円が合算されると税率は約40%・控除額2,796,000円(納税額は720万円)
  
※所得税が379万円アップし、追加された不動産所得1000万円だけで考えると実効税率は37.9%に


  【事例その②】

  給与所得(課税対象)2500万円の個人が、不動産所得(課税対象)1000万円を追加した場合、
  給与所得2500万円だけのときの税率は約40%・控除額2,796,000円(納税額は720万円)
                ⇩
  不動産所得1000万円が合算されると税率は約40%・控除額2,796,000円(納税額は1120万円)
  ※所得税が400万円アップし、追加された不動産所得1000万円だけで考えると実効税率は40%に


    【事例その③】

  給与所得(課税対象)3500万円の個人が、不動産所得(課税対象)1000万円を追加した場合、
  給与所得3500万円だけのときの税率は約40%・控除額2,796,000円(納税額は1120万円)
                ⇩
  不動産所得1000万円が合算されると税率は約45%・控除額4,796,000円(納税額は1545万円)
  ※所得税が425万円アップし、追加された不動産所得1000万円だけで考えると実効税率は42.5%に


上記シミュレーションいかがでしょうか。不動産所得が増えることで、追加収入分に対する実効税率があまりに高くてびっくりされたのではないでしょうか。
不動産投資は節税どころか確実に所得税アップになるのです。巷でよく聞かれる「不動産投資って節税になるらしいね?」という伝聞はただの都市伝説に過ぎないことを強く認識しておいてください。


不動産投資の本当の目的とは
ここでもう一度、不動産投資の目的を再確認しておきましょう。不動産投資とはいかに儲けるか、いかに純資産を増大させるかであって、いかに節税するかではありません。結果的に節税になってしまうような投資は単なる失敗です。税金というコストを支払ってもなお、投資家の手元に残る資産がどれほどあるのかがすべてです。運用期間中の税引き後キャッシュフローと金融機関への元本返済額の累計である純資産(NAV)の増大こそが不動産投資の目的です。もしも所得税の節税目的と称して不動産投資を勧めてくるアドバイザーがいるとしたら、それは完全に間違ったロジックです。くれぐれもご用心をお願いします。

 

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