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不動産業界の大革命
ハゲタカファンドがやってきた!

外資ファンドエリート

ここ20年の間に、われわれ不動産業界は期せずして2回もの大革命を経験することになりました。ひとつは不動産の証券化・流動化の進展によるファンドバブルの大きな波、もう一つは今まさに業界全体が飲み込まれようとしているIT化が主導する不動産テックの潮流です。
この2つの大革命は不動産業界をどのように変えてしまったのか、またこれからどのように変わろうとしているのか。今回のコラムでは、バブル崩壊から10年が経過しようとしていた、まだ夜明けの薄明かりすらも感じられなかった頃に起こった大事件について振り返ってみたいと思います。


外資系ファンドの登場
2000年のSPC法(資産流動化法)改正をきっかけに、不動産の証券化・流動化が始まりました。不動産信託スキームを利用することで不動産を有価証券として流通させることが可能となり、長いあいだ塩漬けになっていた金融機関の不良債権処理が一気に進展することになりました。この千載一遇のチャンスを捉えた外資系ファンドは、巨大な資金力を背景に日本国内の現物不動産や不動産担保付ローン債権のシェアを一気に伸ばしていきました。
外資系ファンドは実にしたたかでした。シマウマの群れの中で一番弱い個体を瞬時にロックオンし、次第に間合いを詰めたかと思うと一気に獲物に襲いかかります。バブル崩壊から失われた10年が経過する中で日本企業は体力と気力を消耗しており、外資系ファンドのアグレッシブな買収合戦をただ指をくわえて見ていることしかできませんでした。


若きエリートたちの活躍
不動産業界の登場人物にも大きな変化が見られました。不動産と金融とが融合することで、これまでの不動産業界とは無縁であった外資系投資銀行・証券会社といった金融機関関係者が大量に不動産業界になだれ込んできました。それまでの不動産業界といえばダブルのスーツに金時計のオジサマ方が経験と度胸で交渉を纏めていくような業界でしたが、ファンド業界人たちは違いました。
ノーネクタイにコットンパンツというスマートな出で立ちに、首からはICセキュリティカード。社内公用語も英語と日本語が半々であり、MBA(経営学修士)保有者もチラホラ居たりします。出たとこ勝負の交渉などあるわけもなく、基本的にミーティング中心で一日の業務が進んでいきます。カンファレンスコールを使った本国との電話会議など朝飯前なのです。
30代の若きエリートたちは数百億円クラスの大型バルク案件にも果敢にチャレンジしていきます。社内では自分以外は全員がライバルであり、自己主張と成果こそがすべてでした。デューデリ業者(不動産価格査定業者)を夜11時にオフィスに呼び出し、翌朝まで缶詰めにすることに良心の呵責などありません。彼らは投資家の利益を極大化することのみで評価され、知力・体力・精神力の具わった者だけが更に上のステージに立つことが許されるのです!


明暗を分けた者たち
大手不動産仲介会社や信託銀行はこの外資系ファンドの成長性にいち早く着目します。外資系ファンドのアドバイザリー業務で大きくフィービジネスを成長させていきました。投資ファンドをターゲットにした営業部を新設し、社員をAM会社(ファンド運用会社)に出向させ、入札のアレンジから取得後のプロパティマネジメント、売却時の仲介業務など、さまざまなワンストップ・ビジネスをものにしていきます。

一方でダブルスーツ組は、ファンド旋風どこ吹く風。仲間の業者からFAXで入手した物件資料を握りしめて朝から喫茶店で情報交換です。物件資料の中には手書きで作成された怪しいものも散見されます。その正確性にはいささかの疑念がありますが、彼らは自らの資料にマル秘スタンプを押すことでその蓋然性を担保し、強気の交渉を仕掛けてきます。当然ですが、ダブルスーツ組とノーネクタイ組は互いに接点などあるはずもなく、お互いがパラレルワールドの住人として存在します。使用言語、交渉スタイル、すべてにおいて大きく異なっていたのです。

大手不動産仲介会社や信託銀行がファンドバブルを商機と捉え大きく成長を遂げた一方で、ダブルスーツ組をはじめとする旧態依然とした世界の住人たちは、目の前にチャンスがあることに気付きながらもその新潮流についていけず、大きく後れをとることになりました。
この不動産証券化・流動化の流れはその後も留まることなく続き、現在も世界中から次々と資本が流入してきています。J-REIT市場は12兆円を超え、私募ファンド市場は16兆円以上と推計されています。不動産の証券化・流動化によって整備された法律や金融プラットフォームは日本経済の財産として残り、大きな経済効果を生むことになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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