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敷金・保証金の返還債務
東京と大阪でどう変わる?

敷金返還東京方式

賃貸マンションやテナントビルなどの収益不動産を売却するとき、賃借人から預かっている敷金や保証金を売主・買主の間でどのように取り扱えばよいのでしょうか。敷金や保証金は、賃借人の退去時に賃貸人が賃借人に対して返還しなければならない債務です。何ら特別の取り決めがない限り、この返還債務は所有権の移転に伴って売主から買主に引き継がれますが、関東と関西ではその取扱い方法が大きく異なりますので注意が必要です。


関東方式による返還債務の承継方法
売買にともなって、売主は賃借人への敷金等返還債務を買主にバトンタッチ(承継)しますので、売買完了後は売主の返還債務が無くなり、買主には新たに返還債務が発生します。これは関東でも関西でも同じです。
ただし、関東では不動産取引の慣例として、売主から買主に引き継がれる返還債務の金銭については売買代金から差し引いて決済します。
例えば不動産売買代金が1億円、敷金返還債務が1000万円とした場合、それらの相殺金額である9000万円をもって決済します。会計上では買主の不動産取得価格は1億円となります。


関西方式
賃借人への敷金等返還債務が売主から買主へバトンタッチされることは関東と同じです。
ただし、関西特有の慣例として敷金等返還債務の金銭を売買代金から差し引かずに決済します。これを保証金(敷金)の持ち回りと呼んでいます。買主は不動産購入後に発生した賃借人の退去に際し、自らの持ち出し負担で返還債務を支払うことになります。一見すると買主が不利である印象を受けますが、買主は新たに発生する返還債務分のコストを考慮したうえで不動産購入価格を判断していますのでその心配は要りません。会計上においても返還債務分のコストは不動産取得価格として見なされますので、関西ではこの持ち回りの感覚が徹底していることがわかります。例えば不動産売買価格が1億円、敷金等返還債務が1000万円とした場合、会計上の不動産取得価格は11000万円となります。


投資家の皆さまの留意点
売主・買主がどちらも関東の方で対象物件も関東の場合、あるいはどちらも関西の場合であれば、不動産取引のルールが一緒なのでトラブルは発生しませんが、売主・買主のどちらかが関東、あるいは関西であった場合には注意が必要です。
特に、関東にお住いの方が関西の物件を購入する際は、返還債務に相当する金銭を売買代金から差し引いてくれませんので契約直前でトラブルにならないようにお気をつけください。
逆のケースもあります。これは実際の取引で経験したのですが、売主が東京本社の法人で対象不動産は奈良県のオフィスビル、買主は地元の法人でした。価格合意が完了し、関東方式の精算方法を記した売買契約書のドラフトを買主様にお送りしたところ、社長さんから喜びの電話がかかってきました。

「いやーわるいなー、保証金分もプレゼントしてくれはるんかー?売主さんが東京の人でホンマよかったわー!」

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